スネップ仙人が毒吐くよ

60代独身じじぃの独白記


ハンドルがグネグネしてダンシング出来ない人はステムが短いかも

ネットではあまり見かけない自転車の知識。

それは、ステムの長さとハンドリングの関係。

 

新車のRaleig Carlton-Fに乗り換えてずっと感じていた違和感が先日やっと解決した。

ステムを長い物に交換したのだ。

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ステムの長さというと、ポジションに不満があったのか?と思われるが、そうではない。一応ポジションも不満が無いわけではなかったが、違和感を感じていたのは別の問題だった。

 

ハンドル操作が敏感過ぎて安定感がなく、乗りにくいのだ。

 

特にダンシングしようとすると、初め10m位は進めるが、20mも進むとハンドルが左右にグネグネと激しく揺れ始めてバランスを崩しそうになり、諦めてシッティングに戻るといった具合だった。

 

自分が何の知識もない初心者だったら

「ロードバイクは普通の自転車より安定感がなくハンドルの切れも鋭いらしいから、そういう物なんだろう。上手く乗れないのは自分が下手糞なだけ」

と思い込んでいるところだ。

 

しかし自慢ではないが、知識だけはロードバイクに乗る前からしこたま蓄えてきた事もあって、違和感の原因がそうではない事に、すぐ気付いた。

 

それが上記のステムの長さとハンドリングの関係である。

 

当たり前のことだが、自転車の操舵システムは非常に単純で、ギアなどを介さず前輪を左右に回転させる軸から横に伸びた棒(これがステム)に左右に渡したハンドルが付いている。

それぞれの棒の長さが長ければ、軸に対する回転半径は長くなり、短ければ回転半径も短くなる。半径が長ければ円周方向の移動量も長くなるし、短ければその逆である。

単純な話だ。

つまり前輪を左右に同じ角度で切った場合、回転半径が長ければ長いほど、円周方向の操作量は大きくなる。

逆に円周方向の操作量が同じ場合、回転半径が長い方は短い方に比べて前輪の角度の変化は小さくなる。

回転半径はステムとハンドルの長さによって決まるものだから、仮に同じハンドルを使ってステムの長さだけを変えた場合、当然長いステムは短いステムよりも回転半径が長くなる。

長々と書いてしまったが、要はテコの棒が長いか短いかというだけの話。

長ければ力は要らないがダルになり、短ければ力は要るが素早く動く。

 

物は自転車のハンドルだから、重い軽いはあまり関係ない。

問題なのは反応が怠いか鋭いかである。

 

ロードバイクは乗り手の身長に合わせて選択が出来るように、複数のフレームサイズが用意されている。XS,S,M,L,XLなどという具合である。

そして、単純にフレームが違うだけでなく、対応身長によってステムとハンドルの長さも変えられている場合が殆どである。

Raleig Carlton-Fの場合は、自分の420㎜というフレームサイズではステム長70㎜でハンドル幅は380㎜、510㎜のフレームはステム90㎜ハンドル400㎜、540㎜のフレームはステム100㎜ハンドル420㎜の組み合わせである。

www.raleigh.jp

 

他のメーカーのロードバイクも似たようなもので、フレームが小さければステムやハンドルの長さも詰められているのである。

こうした組み合わせなのは、身長が低ければ腕のリーチが短く肩幅も狭いというポジション上の都合から来るものであるが、ハンドリングという観点で考えると、身長によってハンドルの切れが鋭かったり怠くなったりするという事になる。

これを指摘する人をあまり見かけないが、自分の様にこの事が大問題となっている場合がないとはいえないだろう。

 

ロードバイクを嗜む人の平均的な体格が身長170㎝前後で、その場合はハンドリング的には自然な感覚が得られるステム長90㎜ハンドル幅400㎜であるから、殆ど語る人がいない様に思える。

 

ということで、156㎝でチビの自分のフレームサイズではステム長70㎜ハンドル幅380㎜であるから、テコの長さは平均的体格の人の乗るロードバイクより随分と短く、それ故ハンドリングも鋭すぎる嫌いがあるという訳だ。

ハンドリングが鋭すぎるから、ダンシングで左右に車体を振った時にハンドルでバランスを取るタイミングにずれが生じて、グネグネ激しく蛇行してしまう。

ダンシングでゆらゆら蛇行するのは自然な挙動ではあるが、あくまでペダリングに合わせてゆっくり動かないと長く続かない。

 

そんな感じでRaleigに乗り始めてからすぐにステムを変えたくなったのだが、φ31.8mmのハンドル対応でシルバー、尚且つアングル17°の適当なステムが見つからない。通販で探すのだが、長さはともかくアングル角が明記されていない場合が多く非常に困る。

純正ステム同等品のKALLOY AS-007Nで検索しても7°の物か、アングル角が書かれていないサイトがヒットする。いちいち角度を問い合わせるのも面倒だ。

現在のステムは17°だから7°になると角度が立って、ポジションも上に立ってしまう。

※これはアングル7°である。

 

しょうがないので、自転車を買った店で同じRaleig Carlton-Fの大きいフレームに付いている純正ステムを取り寄せてもらった。

長さは90㎜と100㎜で迷ったが、いきなり100㎜はポジション的に前傾がきつくなるので、妥協して90㎜とした。

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分かりにくいがビフォーアフター。

実は買った店で100㎜アングル7°のステムの中古品が転がっていたので、それも無償で提供してもらい試していた。 

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こちらでハンドリングの改善を確認したが、ポジションが気に入らないので90㎜17°のステムを取り寄せてもらった。コラムスペーサーを抜いてハンドルを下げる事も可能だが、トップチューブバッグのコラムに巻くベルトが着けられなくなるので、その手は使いたくないのである。

 

ともかく目論見通りの結果で、ダンシングをしても不自然に左右にハンドルがブレる事なくコントロール出来るようになった。

 

本来ならユーザーがカスタマイズを行わなくても適正なハンドリングが得られるようにステム長を決めたりフレームジオメトリが設定されるべきだと考えるが、欧米ブランドなどは小さいフレーム自体が無いこともあるし、雑誌編集者や選手などの自転車インフルエンサーも普通の体格の男子だったりするから、こうした問題はなおざりにされていると感じる。

もし、あなたが低身長で小さいフレームのロードバイクを購入する場合は、単に体格的に適正なポジションとする前に、ステムの長さにも注意すべきだ。

ハンドルが遠いからとコラムに直接クランプがくっ付いているような極端に短いステムを使っている人も見かけるが、ステムを短くするよりハンドル位置を高くする事で対応すべきである。

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ハンドルとサドルの落差がないとスタイル的には格好悪いが、ハンドリングが敏感過ぎて乗りにくいよりは全然マシである。ハンドルの高さは、体幹を鍛えて前傾姿勢に慣れてくれば後でいくらでも下げる事は可能だ。しかし、短いステムに合わせて最初からハンドルを下げてコラムカットしてしまうと、ハンドルを上げる事は不可能になってしまう。十分注意されたい。