スネップ仙人が毒吐くよ

60代独身じじぃの独白記


ロードバイクの定番廉価タイヤ コンチネンタル ウルトラスポーツ2 インプレッション

先月の話だが、今シーズン用にロードバイクのタイヤを交換した。

シンコー デミング スリムランナー 700x25C
から
コンチネンタル ウルトラスポーツ2 700x25C
への交換である。

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交換時のオドメーターは3777.1㎞

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現時点では4621.7㎞

差し引き844.6㎞である。このくらい走れば、以前のタイヤとの違いを語っても良いだろうという事でインプレッションである。

 

定番廉価タイヤとして既に言い尽くされている感はあるが、以前のシンコー デミング スリムランナーとの対比として印象を語りたい。

先ず、取り付け前に重量を量ってみた。

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272.2gである。これは自分の印象では十分に軽い物だが、ネットでよく見かけるインプレッションでは重いとするものが多い。
それらのインプレは、主に上級者が語るもので、彼らはレース用タイヤやハイエンドとされるタイヤを多く経験しているので、そうした目からはウルトラスポーツ2は重いタイヤという評価なのだろう。

 

しかし、定番廉価タイヤというターゲットに絞れば、入門車の初期タイヤとして装着例の多いビットリアのザフィーロは同じ700x25Cのサイズで335gであり、300gを切っているウルトラスポーツ2はこの分野では、決して重いタイヤとは言えない。

それ故、最初に付いていたザフィーロからウルトラスポーツ2に履き替える人は多く、定番廉価タイヤとしての評価は相対的に高い。

 

ところで、自分のロードバイクの以前のタイヤ、デミングスリムランナーはどうかというと……

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433gである。変な写真だが、スリムランナーはワイヤービードといって、鉄製の針金を縁に通しているタイヤの為、小さく折りたたむ事が不可*1で、S字フックを量りに引っ掛けて計測した。タイヤが揺れて数値が上下するが、おおむね433gである。

つまり、まるでお話にならないくらい重い。

これでも3700㎞あまりを走った後の重量で、以前量った時は450gを超えていた記憶がある。ロードバイク用タイヤとしては超ヘビー級である。

スリムランナーという名称は詐欺に近い。

これを超えるのはシュワルベのマラソンくらいであろう。

 

その為、自分は軽いタイヤに替えたくてしょうがなかったのだが、貧乏なのでまだ使えるタイヤをただ重いという理由だけで替えるわけにはいかず、取り合えず1年経ってそれなりに摩耗したからという事で、この度ようやく新タイヤに交換したのである。

とはいえ、このスリムランナー溝は残っているし、まだ1000㎞位は走れそうである。重いなりに耐久性は十分あり、これまでタイヤが原因のパンクも経験していない。

いくらパンクに強いからってマラソンは重すぎるだろうという人には、値段も安いし勧められるタイヤだと思う。

 

話が脱線したが、ともかくコンチネンタル ウルトラスポーツ2はシンコー デミング スリムランナーより約160g軽い。両輪で320gの軽量化である。

よく、ホイールで100gも軽いと違いがハッキリ分かるというが、ホイールより外側のタイヤで160gの軽量化である。
ホイールが軽いと良いというのは、重いと慣性により回転数を維持する力が生じて、素早い加速がしにくくなるからで、それをフライホイール効果という。その効果は円周の外側が重い方が、より大きくなる。

実走の結果が楽しみである。

という事で、期待感たっぷりでいつもの練習コースに出掛けた。

 

ところが、結論からいうと全くの期待外れだった。

いつもの練習コースには勾配10%を超える激坂があり、その区間のStravaでのタイム更新を期待したのだが、直前では10:04だったのが、交換後は10:28だった。つまり遅くなってしまったのだ。

 

https://www.strava.com/activities/2200570617

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https://www.strava.com/activities/2223789490

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※後に同じ区間で9:24を記録したが、それは別の機材の効果である。それについてはまた別の機会に述べる。

 

自分がタイヤの軽量化で最も期待した効果は「激坂を楽に登りたい」だったのだが、それが全く感じられなかった。

つまり、世間でいうところのホイールの軽量化とかタイヤの軽量化で坂が楽に登れるというのは、大嘘という話である。

もちろん、天候だとか体調による影響は無視できないが、その後も何回か同じコースを走っているが印象は変わらない。

 

しかしながら、全く速くならなかった訳ではない。

激坂では速くならなかったが、3%程度の緩斜面では劇的に速くなった印象である。また平地での漕ぎだしも軽くなった気はする。

ただ、自分は好きでヒルクライムしたいわけではなく、目的地が大概山越えの場所で、いやいやながら山を登っているので、とにかく激坂が楽になって欲しかったのだが、その希望は叶えられなかったという事である。

 

素人ながらに考察すると、タイヤやホイールの軽量化が効くのは、それらがある程度高速で回転するからフライホイール効果の影響が大きく現れるのである。
ところが激坂では、自分のような貧脚ライダーは10㎞/h程度の速度で、タイヤはゆっくり回り、フライホイール効果を感じるほど高速ではない。そんなスピードでは、タイヤが重かろうが軽かろうが大して違いは出ないという物だ。

一方緩斜面では、自分のようなヘボでも20㎞/h以上は出せる。そうなるとタイヤがフライホイール効果が出るほど速く回っているので、軽量化の効果を実感できるという訳だ。

上級ライダーになると10%の激坂でも20㎞/h前後のスピードを出せるので、その人達のレベルでインプレされると、激坂でも効果があるような話になってしまうのだろう。上のStravaの上位のライダーも自分が10㎞/hそこらのところを20㎞/h以上で走ってしまう。

 

まあ、車体が320g軽くなっただけの効果はあると思うが、激坂で大してスピードが出ない素人貧脚には大して役に立たないと思った方が良いと思う。

これが、ウルトラスポーツでなくて、GP4000S2とか5000だったら、もっと軽量だから速くなると思っている人がいるかもしれないが、そういう理由だから、ガチで速いライダーでない限りあまり期待しない方が良いと思う。

軽量ホイールについても同じ傾向だろう。

 

まあ、ロングライドで激坂ばかりという訳はないから、中間においては効果があるに違いないが、逆に平地の巡航では速度を維持しにくいとか、下りで速度が伸びなくなるとか、逆風に弱いとか、デメリットもあるに違いない。

 

てなわけで、速さについては懐疑的なのだが、軽量化のメリットが無いわけではない。

 

それは乗り心地が大いに改善された。

洗濯板みたいに凹凸のある道路でも、あまりバタバタしなくなった感じである。

凸部の山の部分を舐めるように走る感じで、足回りが軽快なのである。これまでは、ドタドタと撥ねる感じで、いかにも重い物が転がっている感じだった。

バネはないが、クルマでいうところのバネ下重量の軽減というヤツである。

訊くところによると、コンチネンタルのタイヤはどのグレードも固い乗り味らしいが、そういう物を超越した感覚である。

もっとも、軽いホイールやタイヤが当たり前と思っている人達には今更の乗り味で、これがロードバイクらしい乗り心地という物なのかもしれない。

 

よく、太いタイヤの方がエアボリュームが大きくて乗り心地が良くなると言われるが、こういう経験をすると、太くても重いタイヤと細くても軽いタイヤを比較して、どっちが本当に乗り心地が良いのか?疑問を感じてしまう。

自分は700×23Cのタイヤを経験していないが、根強い人気があるのは、細くても軽量化による軽快な乗り心地があるからかもしれない。

 

その他、グリップとか転がり抵抗とかいうのは、素人故体感ではあまり分からない。もしかすると、元のスリムランナーも重量以外は、そんなに悪いタイヤではなかったのかも?

 

あと、性能とは関係ないが、セミスリックパターンで中央部に溝のないデザインなので、ライド後に部屋に上げる為にタイヤをぞうきんで拭くのが簡単で良い。
またマラソンの悪口になってしまうが、ブロックパターンだと泥が詰まって掃除が面倒くさそうである。

 

以上、上級者のベテランからすれば、なんじゃこりゃ?という感じかもしれないが、素人なりの印象を述べてみた。

 

*1:ちなみに折りたためるタイヤはフォールディングといい、針金の代わりにケブラー製の糸を使用している。ケブラーは商品名でアラミド繊維が正式名だが、折り曲げが可能な繊維でありながら引っ張り強度は鋼鉄よりもはるかに強く、強度を保ったまま軽量化が可能である。実はウルトラスポーツ2にもワイヤービード仕様があり、その場合の重量はフォールディング仕様より50gほど重い