スネップ仙人が毒吐くよ

60代独身じじぃの独白記


シマノ最新鉄下駄WH-RS100は25Cタイヤに最適なワイドホイール

前回の続き。

 

snep1000.hatenablog.com

 

さて、前回ホイールを交換した理由のひとつが重量だと書いたが、それだけではシマノ WH-RS100を選んだ理由にはならない。

予算が限られる事も、また理由であるが、それも決め手ではない。

何故なら、同価格帯にはシマノだけでも従来品のWH-R501とWH-RS010の2種があり、ヤフオクなどで入手可能な中古品まで手を広げると、他にも選択肢がある。

 

中古は程度の問題があるのでリスキーであるが、上手くいけば高性能で見栄えのいい品を手にれるチャンスがある。

代表的なところで

フルクラム レーシング7の旧タイプ*1

シマノ WH-RS11、WH-RS30、WH-R550

見栄えでいえば、レーシング7は圧倒的に派手でカッコよく、重量も鉄下駄と呼ばれる1800g台を下回る1700g台である。

しかしながら、ハブに使われているベアリングがシールドタイプで、カップアンドコーンというタイプでないのが面白くなかった。

シールドタイプの場合は分解調整が不能で、傷んだ場合は特殊工具を使って同タイプのベアリングに交換するしかないのである。カップアンドコーンの場合は、素人でも分解調整が可能である*2

シマノのホイールは全てカップアンドコーンタイプのベアリングである。

WH-RS11、RS30、R550は重量的にはRS100より多少軽いくらいで全て鉄下駄だ。しかし、スポークとハブの接続方法が違っていて、ストレートスポークである。普通の安ホイールは接続部分で曲がっていて首折れスポークという。ストレートスポークは張力を掛けても接続部分で折れたりしないので、剛性が高く、踏み込んだ時の反応性が良い。スポークの本数も減らせるので空力的に有利で、独特な形状のハブと合わせて見た目もカッコよくなる。

 

Shimano rs11?Rear Wheels???ブラック、9?/ 10?/ 11スピードby Shimano

中古では、他に1600g台というアレックスリムのA-CLASS ALXシリーズのホイール*3なども安く出ていて、魅力的だったが、結局物色を諦めた。 

何故なら、上記のホイールは全て旧来の規格のナローホイールで、近年流行のワイドホイールではないからだ。

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ワイドホイールとは何か?

上の写真は自分のシマノWH-RS100のリムにあるマーキングである。「622X17C ALLOY」とあるが、17Cがリムの内側の幅を示している。

旧来この数値は15Cが標準だった。それが近年では17Cに変わってきているのである。Cというのはリム幅の規格の事でA,B,Cと3種あるのだが、普通Cしかないのでそれは無視して良い。単に15より17の方が幅が広いのである。それ故ワイドホイールなのだ。

 

15Cのリム幅の時代は、タイヤも700X23Cという規格が主流だった。

入門者向けの安いロードバイクは25Cという23Cよりもやや太めのタイヤを履いていたが、ミドルグレード以上の上級車は全て23Cのタイヤだった。入門者もしばらく乗って慣れると、細い23Cのタイヤに履き替えて、軽い速いと喜んでいた時代がしばらく続いていたのだ。

しかし近年の研究で、タイヤは同じ空気圧という条件であれば、むしろ太い方が転がり抵抗が低いという事が明らかになった。

従来のイメージでは、タイヤは細い方が抵抗が少ないように思われたが、事実はそうでなかったという事である。ただし、研究では同じ空気圧という条件が付くので、23Cタイヤでは25Cタイヤよりも高圧にすることで抵抗を減らしていた事も、また事実である。

つまり裏を返せば、太めの25Cタイヤでは、空気圧を低めに設定しても転がり抵抗は低いという事である。

ロードバイクの空気圧はママチャリよりも遥かに高く、それ故乗り心地は固い。慣れていない入門者向けに低価格のロードバイクでは従来太めの25Cタイヤを装着し、上級者は空気圧の高い23Cタイヤを履いていたのである。

 

太くて乗り心地の良いタイヤでも、転がり抵抗が変わらないかむしろ良いというのであれば、細いタイヤを無理に履く理由も薄くなるので、近年は上級車でも25Cタイヤを装着するようになったのである。

ところが、従来の15C幅のホイールにそのまま25Cのタイヤを履かせると都合の悪い事も生じるのだ。それ故、25Cタイヤに最適化された17Cのワイドホイールが必要となるのである。

 

1つ目の問題点は、空気抵抗が悪くなるのである。

ロードバイクのホイールはディープリムといって、横から見ると少し厚みがあるように見える。これは車輪の断面がタイヤだけだと前後が短い丸となって後ろ側に渦が出来てしまい抵抗となるので、前後方向に長さを稼いで、なるべく翼のような断面とするための措置である。

ただし、あまりリムの高さを増してしまうと横風が当たって安定性を失ったり、リムの重量が増してしまうので、バランスの良い所で一般車は24㎜~30㎜といった高さに抑えてある。50㎜以上あるディープリムもあるが、あれはレースで直線速度を競う為の特殊なホイールである。

campagnolo(フリガナ: カンパニョーロ) BORA ULTRA 50 WO DK F/R UD ホイール ・フリーボディー:campagnolo9/10/11S ・CULTベアリングシステム WH15-BOCFRDK

ところが、従来の15Cのホイールに25Cのタイヤを装着すると、タイヤの方がリムの幅より太くて、リムとの継ぎ目に大きな段差が生じてしまう。段差が生じると、そこでまた空気の渦が発生してしまい、抵抗となるのだ。

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25Cタイヤの太さに合わせてリムの幅を17Cに広げて段差を無くす事で、車輪の側面が平面化されるので、空気がスムーズに流れ空気抵抗が減るという理屈である。

 

副次的効果として、リムとタイヤの段差がなくなるので、車輪を脱着する時、ブレーキシューがタイヤに引っ掛からなくなって、やりやすいというのがある。

 

2つ目の問題点は、細いリムに太めのタイヤを無理に押し込む形になるので、本来の理想的なタイヤの断面形状よりも縦に長い形になってしまう事である。こうなると、左右から加わった力に対して剛性がなくなり、カーブでぐにゃりとした不自然な感触を感じるようになってしまう。また直線でも外乱に影響されて撚れやすいともいえる。

ロードバイクは高速が出るので安定感がないのは怖い。

 

3つ目は、2つ目の問題点と関連があるが、タイヤが撚れる事でエネルギーが消費され熱に変換されてしまう。ペダルを踏んでもエネルギーの一部はタイヤを変形させる方に逃げてしまい駆動力とならない。転がり抵抗が低いという太いタイヤのメリットも、これでは結局相殺されてしまい生かしきれない事になる。タイヤサイズに合ったリムがあってこそ成立する理論なのである。

 

逆に太いタイヤとワイドホイールのデメリットは何だろうか?

これは、同じ重量比の材料で同様に作ったとすれば、必ず重くなるという事だ。軽量化という意味では弱点である。

しかし、同じシマノの従来品で幅以外同等のWH-RS010と比較すると、WH-RS100は僅かであるが軽量化されている。本当は最外周のリムの重さが重要で、それを比較しないとダメなのだが、少なくともスペック上では軽くなっている。

あとはタイヤの重さだが、こればっかりは23Cのタイヤの方が同じ銘柄では25Cより軽い。初心者がもともと付いていた25Cのタイヤから23Cのタイヤに履き替えて感動するのも軽量化が理由である。

 

とはいえ、自分は今履いている25Cのタイヤを23Cに履き替えたいとは一度も思わなかった。むしろ太くしたい位なのである。

それは、今住んでいる福井の道路状況があまりに酷いからである。

 

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この時書いたように、アスファルトがひび割れだらけでガタガタなのだ。細いタイヤにすると割れ目にタイヤが挟まってしまいそうで、恐怖を感じるのだ。

 

軽さに憧れはあるが、現状では23Cタイヤ以下にすることは考えられない。

それ故、旧来の23Cタイヤを前提としたホイールは全て眼中になく、シマノとしては数少ない17C ワイドホイールの選択肢である最新鉄下駄WH-RS100を選んだのだ。

 

*1:末尾にLGが付かないタイプ。リム幅が15Cのナロータイプ。

*2:シールドタイプの方がむしろメンテナンスフリーで高性能という意見もある。中古の場合はカップアンドコーンでも激しく痛んでいれば処置の仕様がなく、単なる好みともいえる。

*3:他より軽量なのはリムの幅が他より少し狭い14Cだからである。