スネップ仙人が毒吐くよ

60代独身じじぃの独白記


SpotifyがPCのHDD・SSDに大量の書き込みを繰り返す件

自分も利用している音楽配信サービスのSpotifyだが、利用しているPCのHDDやSSDに大量のデータを繰り返し書き込んでいるとして問題になっているようである。

gigazine.net

音楽を聴かなくてもPCの記憶装置であるSSDに大量のディスクアクセスがあり、書き込み回数に一定の制限があるSSDの寿命を縮める懸念があるとのこと。

海外発信の情報らしく、英語がダメな自分はGigazineに書かれた以上の事は分からない。

自分のPCはSSDでなくHDDだが、短時間に大量の書き込みがあれば、他のプログラムの動作にも影響があるはずで、本当ならば一大事である。

なお、記事の最後に

Spotify自身がバグを修正したプログラムを速やかにリリースすべき

という一文があるので、これはPCにSpotifyのアプリをインストールした場合のバグで、ブラウザでサイトへアクセスして利用しているユーザーには関係ないのだろう。

いまのところ、自分のPCでSpotifyアプリをインストールしたことで不調になった覚えはないのだが、気になる話だ。

※2016/11/13追記 既に修正版とされるVer.1.0.42が配布され、確認したところ、そのバージョンとなっていた。 

www.itmedia.co.jp

 

とりあえず、タスクマネージャーを起動してディスクアクセスを調査してみる。

タスクバー(PCの画面下などにあるボタンの並んでいるバー)の何もないところを右クリックしてメニューの中から、タスクマネージャーを選んでクリックする。

f:id:mfigure:20161112214220j:plain

Windows 10の場合、この画面が出たときは、左下の詳細というボタンを押す。

 

f:id:mfigure:20161112214500j:plain

最初にプロセスのタグが表示されるが、項目の「ディスク」のところを一回クリックするとディスクアクセスが多い順にソートされる。もう一回クリックすると少ない順になる。数値はリアルタイムで変化する。

左端の列の一覧にSpotifyがあるので、アプリは起動中なのだが特に異常な様子は見られない。Gigazineの情報の通りなら一番上に張り付いているはずなのだが、たまに上に移動する位である。

 

パフォーマンスのタブをクリックするとこんな感じ。

f:id:mfigure:20161112215442j:plain

全然問題なし。

 

ちなみに、Spotifyのアプリをインストールすると、音楽を止めてWindowを閉じてもPCの起動時に勝手にアプリが起動する設定になっている。

※2016/11/13追記 アプリ内の詳細設定にスタートアップの設定があった。これを「いいえ」に設定すれば自動起動しないようだ。

BGMで音楽を流しっぱなしなら良いが、自分には余計なお世話なので、勝手に自動起動する設定を手動でキャンセルした。

タスクマネージャーに「スタートアップ」タブがあるので、それをクリックする。

f:id:mfigure:20161112220341j:plain

PCの起動時に自動起動されるプログラムが一覧表示されるので、Spotifyの行をクリックし、右下の「無効にする」ボタンを押す。上のスクリーンショットでは、もう無効になっているので「有効にする」ボタンになっている。

自分のPCではバグを感じられないのだが、皆さんもバグが心配なら、とりあえず自動起動はキャンセルしておいた方が良いだろう。

 

なお、記憶装置の異常を警告するツールとして自分はCrystalDiscInfoというフリーソフトをインストールしている。

CrystalDiskInfo - ソフトウェア - Crystal Dew World

f:id:mfigure:20161112221805j:plain

それを見ても、何ら異常は感じられない。タスクバーに常駐して異常があれば警告を出してくれるのだが、Spotifyを利用し始めてから警告が出た事も全くなかった。

HDDやSSDの状態が心配なら、一応これも利用することをお薦めする。

電源プラグの交換方法と重要な注意点

本日11月11日は、配線器具の日であるとのこと。11 11がコンセントの穴に見えるからという理由だ。

配線器具の日について:JEWA 一般社団法人 日本配線システム工業会


 

先日はてなの自分の読者さんブログで、ちょうど電気器具の配線トラブルを記事にしていたので、本日のブログネタにする。

なんっちゅー寒さよ! - たい焼き親子は空飛ぶ夢をみる


昨日から出したセラミックヒーターが壊れてる。

どーもコンセントの付け根がおかしい、押し込めばつくんだけど手を離すと消えちゃう。

ブログを書いた御本人は既に新しいヒーターを注文したそうなので手遅れなのだが、こういうのは電源プラグを交換すれば、安価に直る可能性がある(絶対直るとは保証しない)。

 

自分の部屋にあるファンヒーターの配線も傷んでいて、以前電源プラグを交換した。
通電はするものの、電源プラグが火傷しそうなほど熱くなり、コード自体も発熱していて危険な状態だった。

電気ヒーターが使えたとしても、上記のような症状がある場合は、すぐに使用を中止して、修理するか、新しい器具と交換してほしい。

f:id:mfigure:20161111175821j:plain

自分の場合は、素人修理に成功して、その後の使用に問題はなかったが、素人修理の場合はやり方が間違っていて、交換してもプラグやコードが発熱する場合がある。交換後も時々様子を見て、異常がないか点検する事が肝要である。

上手くいかなければ、潔くプロの手に任せるか、買い替えを検討してほしい。

 

と、かなり脅かしてしまったが、成功すれば節約になる事は間違いない。

f:id:mfigure:20161111181038j:plainストックしているパーツだ。大分前に買ったものなので価格表示がおかしいが、ホームセンターに行けば、今でも同じパーツが入手できるだろう。暖房器具の場合は黒いコードが多いので、黒いパーツが良いが、白いパーツもある。

パーツ自体は100円そこらで買えてしまうので、チャレンジして上手くいけば、そのまま使えば良いし、失敗したならプロに頼むなり買い替えれば良いだけである。

なお、素人が手を出していいのはオス型のプラグの方で、壁にあるコンセントの方は資格がない者はいじってはいけない法律になっている。 ホームセンターにはコンセントのパーツも売っているが、念の為忠告する。

 

というわけで、前置きが長くなってしまったが、以下修理の方法である。

f:id:mfigure:20161111182814j:plain

電源コードの発熱異常は、上の写真の〇で囲んだ部分に断線がある場合が多い。

中の銅線の束全部で、既定の電流を流せる前提で設計されているので、取り扱いが乱暴で、一本でも中の銅線が切れてしまうと安全に流せる電流の許容量を超えてしまいコードが発熱したり、繋がるプラグも発熱するのである。何本も切れていて押さえないと通電しないというのはもちろん論外だ。

だからプラグを付け替える時は、〇で囲んだ部分から3cmほど上側でコードをカットする。

 

以下説明は、今日のところは自分では面倒なので、参考サイトを貼り付けた。作業手順の詳細はリンクを参照されたい。つまり、手抜きである(ひどいw

※しかし、どの参考サイトも重要な注意点が抜けているか目立たないので、このサイトに戻ってきて欲しい。

電源プラグの交換

電気コンセントプラグの差し込み交換方法

youtu.be

 

さて、大体の手順は参考サイトの説明で理解できたと思うが、最も重要なのはコードの皮むきで、絶対に中の銅線を切ったり傷つけない事である。

 

大体、元のコードやプラグに異常が発生する原因が、先にも述べたように銅線の断線にあるので、交換作業で銅線を切ったり傷つけてしまったのでは無意味なのである。

どの作業者もカッターを用いて銅線の被覆を剥いているが、カッターの刃を銅線に当たるまで深く入れてしまうと、中の銅線が切れたり半分傷がついた状態になってしまう。

絶対に中の銅線に触れない程度で、しかも被覆が確実に剥ける程度には深くという、非常に微妙な感覚で刃を入れる必要があるのだ。ここで失敗すると元の子もないのである。

結局、その自信がないならプロに頼むか、買い替えを検討した方が良いという話だ。

 

確実にやるなら、カッターでなく専用の道具をお薦めする。

 

自動で剥けるワイヤーストリッパーである。自分では持っていないが、仕事で同様の道具を使用したことがある。笑ってしまうほど簡単に銅線の被覆がスパスパ剥ける。 

とはいえ、2000円以上もするのは高いと思うだろう。

 

ベッセル(VESSEL) ワイヤーストリッパー No.3500E-1

ベッセル(VESSEL) ワイヤーストリッパー No.3500E-1

 

自動ではなく、手で引き抜くタイプのワイヤーストリッパーもあるが、プロの使用に耐える品質の工具は値段が高く、このタイプでもあまり安くはないし、銅線を傷つけないように剥くには、これだとある程度練習が必要だ。

 

結局、安く直せる可能性があるといっても、ハードルが高いという結論だ。

大して役に立たぬ情報ですまない。  

3万円前後で買える格安ノートPCのメモリと記憶容量について

3万円前後で買える格安ノートPCが人気のようだ。

従来、パソコンに詳しくない一般人が家電量販店等で求めるNECや東芝等の有名メーカー製のノートPCの価格は15万~20万円ほどだった。

会社で使っているようなDellやHPの業務向けノートPCでも5万円台~というイメージだろう。

ところが、現在ではASUSやLenovo等中華系メーカーや業務用のイメージが強いDellやHPなどから、3万円前後で買える格安のノートPCが売られている。

 

www.hitode-festival.com

上記のブログは、はてなでもトップクラスの有名ブロガーだが、この記事でかなりの売り上げがある模様。あやかりたいものだ。

先日も、自分が定期巡回の読者になっているブロガーさんが、ASUS E200HAを衝動買いしてしまった。

www.fair-skinned-monster.com

意地の悪い、空気の読めない読者である自分は以下のコメントを残した。

衝撃の衝動買いシリーズ!!買っちゃったよ「ASUSノートブックE200HAダークブルー」。 - 攻めは飛車角銀桂守りは金銀三枚

熟考して買うべきだったのでは。RAM2GBにeMMC32GBって読んでるこちらが吐血しそうなスペック。その容量だと今後のアップデートに耐えられない気がする/RAM、eMMC基盤直付けで増設不可か、あかん。

2016/11/07 17:19

b.hatena.ne.jp

自分の使用しているサブPCはWindows 10でメモリ2GBなのだが、メモリ5GBを載せているメインPCと比較すると、かなりモッサリとした動作なのである。もちろん、CPUや記憶装置の性能でも使用感は変わるが、世間のWindows 10の評判を訊くと、メモリ2GBはギリギリのスペックでしかなく、4GB以上ないとまともに動かないというのが一般的な意見である。

また記憶装置のeMMC32GBというのも、かなり問題となりそうなスペックである。Windows XPであれば、必要にして十分の容量であり、自分が持っているASUS EeePC 4G-Xに至っては4GBしかなかった。だが、Windows 10はXPに比べると、容量喰いまくりであり、先ほどの開発コードネーム「Redstone 1」と呼ばれる大型アップデート「Windows 10 Anniversary Update」を自分のメインPCに手動で施そうとしたところ、約6GBの空きがあったにもかかわらず、空きが足りないとして実施できなかった。その後自動アップデートで導入されたのだが、残り僅か2GBほどしかない。

大型アップデートは来年開発コードネーム「Redstone 2」と「Redstone 3」が予定されており、現状32GBで間に合っていたとしても、OS自体のアップデートで足りなくなる恐れがある。

「Windows 10」、2017年は2つの大型アップデートがリリース予定 | 気になる、記になる…

更にASUS ノートブック E200HAで問題なのは、一般的なノートPCでは可能なメモリと記憶装置の交換が不可能なのである。メモリ2GB 記憶装置eMMC32GBは基盤に直付けでコネクターが存在しないのだ。上記の不都合があっても、改善する手法が塞がれているのである。

だから、空気が全く読めないバカであるが、脊髄反射的に「あかん」といってしまった。

ところが、ASUS ノートブック E200HAに変わるお勧め機種を探そうと、ネットを調べて回ると、もっと問題が根深い事に気が付いた。どの格安PCも、Windows 10 Home 64Bit メモリ2GB 記憶装置eMMC32GB(一部機種では64GB)と横並びのスペックなのである。しかも、コネクターなしの基盤直付けだ。

 

ここで、ようやく自分は納得した。

 

確実な情報はないのだが、これには以下のカラクリがあると思われる。

japanese.engadget.com

この記事は、現行機種ASUS E200HAの旧機種に当たるEeeBook X205TAの発表時のものである。

安さの理由には、マイクロソフトがChrome OS / Android への対抗としてOEM メーカーにのみ提供する、無料または安価なWindows 8.1 with Bing の搭載があります。

当時はWindows 8.1だったわけであるが、安さの秘密はマイクロソフトがOEMメーカーのみに、無料または安価にOSを提供したという事が分かる。
その後EeeBook X205TAはハードのスペックを変更せずにWindows 10 Home 32Bit版が販売された。

EeeBook X205TA以外にも複数のメーカーからWindows 8.1 with Bingを搭載した格安PCが発売されたが、これらのスペックも現在と同様、メモリ2GB 記憶装置eMMC32GB(一部機種では64GB)と横並びだったのである。

こうした状況から、マイクロソフトは無料または安価にWindowsをOEMメーカーに提供するかわりに、ハードのスペックに制限を加えたのではないかと想像されるのである。

更にいえば、2008年ごろWindows XP時代末期に「ネットブック」という格安ノートPCのブームがあった。自分が持っているASUS EeePC 4G-Xがネットブックのはしりといわれる製品である。当時も、液晶ディスプレイの解像度、CPU、メモリ等のスペックが各社横並びで、マイクロソフトからOSを格安で提供してもらう為の取引材料としてスペックに制限があったと噂された。

 

ちなみに、3万円前後で買える格安ノートPCでもDellの場合、全く同じ筐体でメモリ4GB 記憶装置SSD128GBの上位機種が用意されている。CPUも上位の物に変っている。もちろん3万円前後の価格ではなくなってしまうのだが。

Dell ノートパソコン Inspiron 11 Pentiumモデル ホワイト 17Q32W/Windows10/11.6インチ/4GB/128GB
 

 

 同モデルのメモリ2GB 記憶装置eMMC32GBの最廉価仕様は以下になる

Dell ノートパソコン Inspiron 11 Celeronモデル ホワイト 17Q11W/Windows10/11.6インチ/2GB/32GB
 

その価格差は2万円弱で、決して安いものではない。だが、OS代7千円、メモリ代3千円、SSD代5千円、CPU代5千円と考えれば、ぼったくりでないことは理解できるだろう。

最廉価仕様でも、現状、ブラウザでタブを2、3個開く程度で同時にOfficeアプリを開かないという条件であれば、HDDより速いeMMCの効果もあって、意外と使える、不満はないと思っている人が多いようだ。だから、人気もあって売れている。

だが、問題が起きるのはこれからだ。上で書いたように来年はOSの大型アップデートが2件控えている。eMMC32GBで果たしてそれを乗り越える事ができるだろうか?

また、自分のようにブログを書くときに、参考となるサイト情報を見るためにブラウザのタブを同時に10個とか開いてしまう人間には、現状でもメモリ2GBでは完全に力不足だ。

全部分かっていて買った人はそれでいいだろう。多少使い勝手に制限があっても、これで十分だし、1年ほどでアップデートができなくなったとしても、その頃には新型が出るに違いないから買い替えれば良いとか、Linux等他のOSに入れ替えれば良いと考える人達だ。

だが、某人気ブログのおすすめ記事を見て購入してしまった人は、全くの初心者で、人気ブロガーがすすめるんだから、悪くないよねと信じた場合が多いのでは?そのような人には近い将来、こんなはずじゃなかったと、悲劇がおとずれるであろう。

 

初心者で何が良いのかよくわからないが、とにかく安くて小さくてオシャレなノートPCが欲しいという人は、少し頑張ってメモリ4GB以上、記憶装置容量64GB 以上の機種から選んでほしい。たとえ2万円高くても、後悔しないはずだ。

 

Dell ノートパソコン Inspiron 11 Pentiumモデル レッド 17Q32R/Windows10/11.6インチ/4GB/128GB

Dell ノートパソコン Inspiron 11 Pentiumモデル レッド 17Q32R/Windows10/11.6インチ/4GB/128GB

 

 

F-1のデザイン、速さの秘密と誤解 その3

前回、F-1のデザインはFIA(国際自動車連盟)が定める規定による制限が生み出したものであると説明した。 

snep1000.hatenablog.com

 

規定による制限が生み出したデザインの最たる物は、近年出現して物議をかもした

ち〇こノーズである。

www.milkmemo.com

形状については上記リンクの写真の通りで全くみっともないのであるが、その形状が生まれた原因については、全く間違っている。

これは風を、下に多く取り込むと同時にディフューザーという後部の空気を吸い出すような形状のシャシーを設計する(飛行機の翼の逆バージョンの流れの状態を起こす)ことで、よりダウンフォースが発生するという仕組みでした。ですから、各チームはノーズの位置を高く保っていたかったのです。

そう考えると、少し現在のフォルムは空気の流れの効率が悪いのです。しかし、スピードが出すぎるという理由で禁止されましたし、ドライバーの視界を確保すると言う意味でも、このノーズを下げるというレギュレーションが維持されています。

ノーズが高くなった理由は、前回その2で自分がティレル019を例に説明した通りで、あっている。

ところが、ノーズを下げさせた(正確にはノーズ先端)本当の理由は、空力を悪くしてスピードを下げさせるのが目的ではなかった。結果的には、その効果もあるが、別の理由である。

ティレル019はハイノーズの先駆けではあったが、ノーズ先端の高さは控えめで、ドライバーが着座するコクピットの中間ほどだった。ところが強力なダウンフォースを発生するには、前方から床下に取り込む空気の量は多ければ多いほど良いわけで、ノーズの高さは年々高くなり、ついにはドライバーの目線と同じ高さにまでなってしまった。

Ferrari F1 150??? F2011 Italia F. Massa #6 1/18 - Hot Wheels Diecast Models Hot Wheels Diecast Cars 並_行_輸_入_品

例えば2011年モデルのフェラーリ 150だが、コクピット開口部前端からノーズ先端まで、ボディ上面がほぼ水平になっていることがお分かりだろうか。

こうなると、単にスピードが速いから危険という以外に、別の危険性が指摘される事となる。レースは、なるべくあってはならない事だが、接触事故がつきものである。

もし、前走車が何らかのトラブルで横向きに道を塞ぐように止まってしまったら?

後走車のノーズ先端はどこへ向かって突っ込んでいくだろうか。

運が悪ければ、ドライバーの頭部を直撃するのではないだろうか。想像するに恐ろしい事態である。また前走車ドライバーへの直撃は避けられたとしても、ノーズが前走車ボディ上面に乗り上げてしまえば、後走車も無事では済まない。スピードがついているのでジャンプ台と化して勢いよく飛び立ってしまうだろう。

 

もうお分かりだろう。ノーズの先端位置を下げるように規定が改訂されたのは、衝突安全対策だったのだ。

ノーズを下げると、先端はコクピット横を襲う事になるのだが、近年のF-1ではカーボンファイバーを用いた強固なモノコックフレームが採用されていて、厳しいクラッシュテストも課されている。ドライバー横には幅広のサイドポンツーンも存在するので、コクピット上面にノーズが乗り上げるより安全なのだ。

 

真面目に規定を守ると、空気を前方下から取り込む流路幅が狭まりダウンフォースが減少する結果となるが、マシンデザイナー達は抜け道を見つけ出した。

それは、フロントウィングの取り付けステーをやや後退させ、それより前方の、規定で必要最小限とされる太さのノーズ先端だけを下に垂らす事だったのだ。

 

更にいうなら、実は2014年よりも前に、ノーズ先端を下げる規制はあって、2012年には段差ノーズというものが流行したのである。

Ferrari F1 F2012 F. Massa #6, Red - Mattel Hot Wheels Racing X5521/9964 - 1/18 scale diecast model car

 

この時の規制はノーズ取り付けの基部であるサスペンションアームの付け根の位置を下げるもので、FIAはここからなだらかにノーズの先端が下がっていくことを期待したが、マシンデザイナー達は上面に段差を付けて対抗した。これでも分かるように滑らかな形による空気抵抗の低減より、ボディ下面により多くの空気を流してダウンフォースを獲得する方が、F-1にはメリットが大きいのである。

 

なお、ち〇こノーズという俗称は極めて下品であり、お上品な紳士はアリクイノーズと称している。

また、ドライバーの首狩り対策としては、コクピットのクローズド化の議論や防護バーを設置するテストなども行われているが、レーシングカート上がりのドライバー達*1はあまり乗り気ではないようだ。 

 

FIAの規定改訂が及ぼす影響は、もちろんノーズデザインに留まらない。

近年のF-1では、タイヤ幅や直径も固定されていて、全チーム同じ特定のタイヤメーカーによる1社提供である。タイヤ性能を規制して、速すぎるコーナリング速度にさせない為、また全チーム条件を揃える為の規制だ。かつての超ワイドタイヤの方がカッコ良く見えるが、デザイナーの好きにはできないのだ。

タイヤの幅も狭くなったが、車幅自体も狭くなって、細長い印象になった*2。これも、コーナリングではトレッド(左右のタイヤ間の距離)が広いほうが、横方向に踏ん張りが効くので有利だが、コーナリング速度を遅くするために規制されているのだ。

毎年、速く走らせたいマシンデザイナーと安全規制を掛けてくるFIAとのイタチごっこなのである。

規制の穴を見つけて進化を続けたのが、今のF-1のスタイルであり、決して速さ優先だけでデザインされたのではない。そうした、やり取りを追うのも、モータースポーツの楽しみの一つである。 

*1:彼らは一般乗用車ベースのツーリングカーのレースは経験しないで、免許のない少年時代からゴーカートのレース仕様で経験を積み、フォーミュラーカーにステップアップする場合が殆ど。オープンホイール単座というスタイルは常に変わらず、運転感覚が似ているので、屋根付きを運転しろと言われても戸惑いを感じるのだ。

*2:1993年以前は最大幅2015mm、1998年以降は1800㎜

F-1のデザイン、速さの秘密と誤解 その2

さて、前回の続き。前回はタイトル詐欺で、F-1のデザインに触れることができなかった。今回が本番である。

snep1000.hatenablog.com

F-1のデザインというと、皆さんは何を思い浮かべるだろうか?

前後のウィング?オープンで単座席のコクピット?剝き出しのタイヤとホイール?

これらのデザインはFIA(国際自動車連盟)が定めるルールに則ったものであり、彼らが様々なレースカテゴリ―用に規定した車種のひとつがF-1なのである。

モータースポーツはルールのある競技であり、漫画や映画で描かれるような、とにかくどんな車種でも、無制限に速く走れるように作って、1位になれば偉いという世界ではない。

素人の議論で陥りがちなのは、ルールを忘れていることであり、それによってF-1は4輪レースで最速カテゴリーなのだから、あの形が最速のデザインであると誤解するのだ。

あくまで、あのデザインであるのはルール内で競い合った結果でしかないのだ。

現状のルールを無視して、デザイナーが自身の考える最速車の理想を追えば、もっと違った形の車が出来上がるのである。

その典型のひとつがレッドブル X2010である。

 

AUTOart オートアート・アウトレット 1/18 レッドブル X2010 S.ベッテル 完成品

 

レッドブル・X2010 - Wikipedia

単座コクピットでミッドシップエンジンの4輪車という共通点を除けば、ゴチャゴチャした空力デバイスが整理されて、スムーズな流線形が美しいすっきりしたデザインのマシンとなるのである。

これに比べれば、現在のF-1マシンのデザインは、奇形的進化を遂げたゲテ物である。

 

話を元に戻そう。

前後のウィング?オープンで単座席のコクピット?剝き出しのタイヤとホイール?

これらの特徴をもつマシンは、モーターレースカテゴリーではフォーミュラマシンと呼ばれ、その中のトップカテゴリーがF-1なのである。また、ウィングは必須ではなく、過去にはF-1にウィングはなかったし、下位入門クラスではFJのように禁止されているフォーミュラマシンもある。

ちなみにフォーミュラとは規定という意味なのだ。

だから、現在のF-1のあのデザインを生み出しているのは、速さの追求である前に規定なのだ。

 

F-1と空力の関係を説明すると、初期にはできるだけボディ―を細く作って、抵抗を少なくしようという考えだった。

タミヤ 1/12 ビッグスケールシリーズ No.32 ホンダ RA273 エッチングパーツ付 プラモデル 12032

いわゆる葉巻型である。しかし、いくらボディを細くしても、タイヤがある限りそれが抵抗となってしまう。既定ではタイヤを流線形のカバーで覆うことは許されていない。技術の進歩でタイヤは太いワイドタイヤになって、ますます抵抗は増えてしまう。

空気抵抗が増えてしまうと何が起こるのか?

そう、最高速度が出なくなってしまうのだ。

ここで、前回の記事の話が生きてくる。つまり、最高速度を伸ばすことを見限り、サーキットでは延々直線が続くわけではないのだから、ある程度の速度が出れば十分という考えに変わっていったのだ。

最高速度が出ないなら、どこでタイムを稼ぐのか?サーキットレースで重要なのは最高速度ではなく、1周のラップタイムである。

必然的に、カーブで速度を落とさずに曲がれるならタイムが稼げるという計算になる。そうして発明されたのがウィングなのである。

ウイングを付けてしまうと、下向きのダウンフォースが発生する代わりに、前向きの抵抗、つまりドラッグが生じてしまう。

しかし、元々タイヤによる抵抗で、最高速度を見限っているので、少々ウイングで抵抗が増えたとしても、コーナーリング速度が速くなるメリットの方を取ったのである。

 

ウイングを導入して間もない頃は、エンジン出力が十分でなく、それでも空気抵抗を減らそうという努力が見られた。

タミヤ 1/12 ビッグスケールシリーズ No.36 1/12 タイレルP34 シックスホイラー エッチングパーツ付き 12036

 

有名なティレルの6輪車は、スポーツカー風の流線形ノーズに、小径にしたタイヤを隠れるように配置することで、空気抵抗を減らそうとした発想である。しかしながら後輪は大きくはみ出していて、無駄なあがきというものだった。

また、ウイングカーというアイデアもあった。

 

エブロ 1/20 チーム ロータス タイプ 88B 1981 プラモデル 20010

 

後付けのウイングではなく、ボディそのものにウイングを内蔵させたほうが、より効率的で抵抗が少ないわりに高いダウンフォースが得られるという発想である。しかし、車高を常に一定に保たないと、ダウンフォースの強さが急激に変化し、突然ダウンフォースを失ってコースアウトする。そればかりか、裏返しになって空高く舞い上がってしまうなど、危険な代物であったため禁止された。

 

その後、1.5Lターボ時代になると、最高速度は抵抗を減らすのではなく、有り余るパワーで押し切るという考えが支配的になり、抵抗になるウイングは巨大化した。

 

EIDOLON FORMULA 1/43 マクラーレン ホンダ MP4/4 日本GP ウィナー No.12 アイルトン セナ ワールドチャンピオン 再販

 

マクラーレン・ホンダ MP4/4であるが、フロントはともかく、リアウイングは衝立のような一枚板のフラップを急角度で立て、抵抗を減らすよりも無理やりリアタイやを押し付けようとするデザインである。この頃は予選で1500馬力というモンスターパワーを誇っていたからできた形である。

 

3.5L自然吸気エンジンに規定が改訂されると、パワーが半分ほどに制限されてしまったので、再びダウンフォースを重視しつつも空気抵抗を減らそうとする努力が図られることとなる。特に下位チームはトップチームほどパワフルなエンジンは得られず、ドラッグ低減が死活問題だった。

GP Car Story vol.04 ティレル019・フォード (SAN-EI MOOK)

下位チームに沈んでいたティレルが選んだアイデアが、今日まで続くハイノーズである。

ウイングカーは禁止されたが、規制は限定的なもので、車体自体をウイング形状にしてはいけない部分は前後のタイヤに挟まれた中央のみだった。つまりそれより外側の車体前端と後端を跳ね上げれば、全体としてはウイング断面が形成される形となる。

後端の方は多くのチームで、跳ね上がったリアディフューザーが採用されていたが、フロントについては手つかずだったのだ。

後ろはともかく、細い幅のフロントノーズを高くすることは効果があるのか?その辺に疑問があったのでトライが遅れたのかもしれない(真相は知らない、自分の想像だ)。

ともかく試してみると、細い幅でも両脇から大量の空気が押し込まれて、中央の車体底面では急激に流路の上下厚が狭まり、車体後端では出口が広がって速やかに空気が抜けていくので、強力なダウンフォースが発生するのだ。

車体自体がダウンフォースを得られれば、抵抗の大きなウイングを小さめの物で済ますことができる。抵抗が減れば低出力のエンジンでも、高出力のエンジンを使うトップチームの最高速度に並ぶことができるという塩梅である。

 

話がまた長くなってしまった。2話で納めるのは無理なようである。

その3に続く。

F-1のデザイン、速さの秘密と誤解 その3 - スネップ仙人が毒吐くよ