スネップ仙人が毒吐くよ

50代ひきこもりの独白記


キリン POINT OF NO-RETURN! 【マニアック過ぎて観る人を選ぶ作品】

Huluの2週間無料トライアルの利用による、映画鑑賞レビューの連載。

 第3回目は真木蔵人主演「キリン POINT OF NO-RETURN!」

この映画は観る人を選ぶ。自分は元ライダーだったので観たが、2輪経験が全くないと楽しめないだろう。また「安全運転が出来ない者は絶対許さない」という主義の人は観るべきではない。

作品内容は全く違うが「頭文字D」を観て眉をひそめたり、怒り出す人には全くお勧めしない、そういう作品だ。

またR15+のレーティングなので、お子ちゃまも禁止である。

エロゲーやAVが現実にはないファンタジーとして許容すれば良いのに、女性蔑視の象徴として批判する人が多いのと同様で、現実では反社会的暴走行為にしかならないから、分かってくれというのは無理がある。仕方のない事だ。

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2012年公開。監督は大鶴義丹。原作は東本昌平の同名コミック。

走り屋バイク物コミックとしては、「頭文字D]のしげの秀一が描いた「バリバリ伝説」が有名だが、東本昌平はしげのを越えるバイクのメカ表現で、一部のバイクマニアに熱狂的な支持を受ける伝説的作家である。

下手糞なバイクを描く漫画家が多い中で、しげの秀一の登場は画期的だったが、東本はそれさえも超えた超緻密な描写で、神様といっても過言ではない。

このように書くと、さも原作コミックをよく知っているように思われてしまうが、自分は短編や「キリン」の一部をたまに立ち読みの雑誌で見たくらいだ。

だが一目見ただけでも分かる位に、彼のバイク描写力は優れているということだ。

 

主人公の乗るバイクはスズキGSX1100Sカタナであるが、こちらはバイクマニアであれば説明不要だろう。まだマニアでない初心者ライダー向けに解説すると、バイク史に残るエポックメイキングな名車の1台で、1981年登場以来、その特異なスタイリングが放つオーラはいまだ廃れていない。動力性能も一級だったが、当時のスズキのエンジンは他のメーカーよりも過剰品質といわれ、名チューナーのヨシムラが好んだ事でも知られる。もちろん、絶対性能では今のバイクには全く歯が立たないが、チューニングでかなりアップデートできる余裕もあるのだろう。

 

あらずじ

都内某社に務める38歳のサラリーマン、彼はかつて「キリン」と呼ばれる伝説の走り屋ライダーだった。事故で入院しバイクを降りてくれと懇願する妻と別れたものの、今はBMWのR120RSというジェントルなバイクを時たま乗る程度だった。

ある日バーで出会った若い女と一夜を過ごし、「キリン」の名を語った事と、久々に乗ったバイクで馴染みのバイク屋に出かけた事で、昔の血が騒ぎ始める。バイク屋にあった現代のスーパーバイクGSX1300Rハヤブサを借りて乗り回したが、しっくりしない彼だった。ところが、ハヤブサを返しに店に戻ってみると、かつて自分が乗っていたGSX1100Sカタナが保管されているのを発見してしまう。

再びカタナを乗り始めたキリンだったが、若いGPZ900Rに乗るライダーとバトル中に、かつて自分を事故に追い込んだ因縁のポルシェ911と再会する。しかも、「でか尻女」と呼ばれるそのポルシェは、自分が担当の取引先の重役が乗る車だった事を偶然知る。因縁の車のドライバーと直接話をして勝負を申し込むキリン。東名、東京ー浜松間の高速バトルが始まる。

 

見所・感想 

「浜松までならポルシェの方が速いんでしょうね」

因縁のポルシェのドライバーが言った、この台詞でニヤっと笑えるかどうかが、この映画の面白さが分かるポイントだろう。それが分からないと、少々二輪に乗っていたとしても、渋いとか懐かしいだけで終わってしまう。それくらい、観る人を選ぶ作品だ。

その上、上で書いたとおり、反社会的バトルがテーマの作品でもある。一般人には大ヒンシュク、理解不能というものだ。

最新型のバイクに乗らずに、旧式にこだわるキリンの気持ち、テクニックの凄さも、旧式と新型のバイクの違いを体感した事がないと真に理解できないところだ。

自分は中免で、400ccまでしか乗っていないが、レーサーレプリカブーム以前のバイクとそれ以降では、車体のつくりが全く変って、高速の走行安定性やコーナリング特性が全然違う。カタナは旧世代のバイクだ。バトルの結末もスズキの古いバイクに乗っていた人間には何となく分かる話だ。

ポルシェのドライバーが言った台詞を理解するには、もしかすると二輪の経験だけでなく、四輪の経験と知識も必要かもしれない。

ただ、自分は東本昌平の原作を読んでいない。原作には書かれていて、映画では説明を省略している可能性もあるかも。原作ファンにはイメージが違うという心配もある。

その辺も考えると、この映画のスイートスポットはかなり狭いといわざるを得ない。

 

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