私、鍵家彩子(かぎやさいこ)は、私立○○高校、精神科学同好会のメンバーだ。
サークル室は廃部になった体育会系の元部室で、多数のロッカーが並んでいた。
私には記憶がない。あの日、自分に起きた悲劇以前のすべてを失くしてしまった。
その日、私はどこかの高校に向かって登校中だった。ところが、私の前に突然ワンボックスカーが停車。スライドドアが開くと、全身黒タイツ黒マスクの何者達に拉致された。
頭から黒い袋を被され、男が「騒ぐと殺すぞ」と怒鳴った。
上着を脱がされ、犯されると思ったが、何かを身体に巻かれ、学校近くの別の場所で私は解放された。
ワンボックスカーは猛スピードで発ち去った。
予鈴がなって、私は気が動転しながらも校門に駆け入った。
教室に入ると、既に教師が来ていた。
「遅刻だぞ、廊下に立っとれ」「待て!」
「何だ、これは?」
教師が私の上着をまさぐる。そして捲り上げた。
「ば、爆弾っ・・・」「きゃーーーーーーっ」
パニックに陥る教室。私の上半身にはダイナマイトのような筒状の物が多数巻きつけられていたのだ。
私はグラウンドの中央に立たされていた。
学校関係者は全て避難。グラウンドの外から遠巻きに野次馬たちが見守っている。上空ではヘリが舞っていた。
「隊長、ベストのベルトを切断しては?」「馬鹿、配線が仕組んであったら、そこで終わりだ」
「隊長、あと3分です」「南京錠を切断するしかない、お前は退避しろ」
「隊長も退避してください」「見捨てられん、ボルトカッターをくれ」
ボルトカッターを置いて退避していく若い隊員。
「くそっ、固い・・・」
「バチンッ」
「やっと1個。あと3個・・・駄目だ」
「許してくれ、お嬢さん・・・」
逃げていく隊員。
終わった。
「死にたくなーーーーーーーい」
「シ・ニ・タ・ク・ナ・イ」
「タ・ス・ケ・テ」
LCDモニターに繰り返し表示される文字。
「我々ができるのはここまでだ」年配の白衣の男と、少年のような若い男。
「君の星ではこういう事はよくあるのかね?」
「いえ、少女が空から降ってきた話はよく聞きますが、首だけというのは」
「精神波が強いようだ。それがバリアーになったのか・・・」
モニターの下には、カプセルに入った少女の首。
「君をこのままにはしない・・・」
続く。
ここ数日、こんな下らない妄想をしていた。