Huluの2週間無料トライアルの利用による、映画鑑賞レビューの連載。
第9回目はクリント・イーストウッド監督、主演アンジェリーナ・ジョリーの「チェンジリング」
Huluでは、現在見ている動画が終わりに近づくと、自分がマイリストに登録した動画ではなく、勝手にHuluがお勧めする動画を再生しようとする。余計なおせっかい機能で邪魔なのだが、以前観たクリント・イーストウッド主演/監督の「ミリオンダラー・ベイビー」の時、次に表示されたのが「チェンジリング」だった。
「硫黄島の手紙」「アメリカン・スナイパー」等、実話に基いた作品でも評価の高いイーストウッド監督だが、今作も1928年にロサンゼルスで起きた実際の事件を元に映画化された。
2008年のアメリカ映画。
上映時間2時間22分
あらすじ
1928年、アメリカ・ロサンゼルス。シングルマザーで電話交換手のクリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)は、その日、息子と映画を観る約束をしていた。だが休日だったにもかかわらず、急用で電話会社に呼び出され、クリスティンは息子を家に残して出かける。
夕方仕事が終わって家に戻ってみると、息子ウォルターの姿が消えていた。捜索依頼を出すものの息子は見つからず、ロスでも有名な失踪事件になる。
そして5ヵ月後、ついに警察からウォルター発見の朗報がもたらされる。しかし、クリスティンの前に現れたのは見知らぬ少年だった。すぐさま、少年が別人である事を警察に伝える彼女。しかし青少年担当のジョーンズ警部は、本物だといって彼女の話を信じようとしない。
懸命に別人がすり替わっている事を伝えるが、ついには精神異常者として病院に強制収容されてしまう。精神病棟には彼女同様、多数の女性たちが、異常はないのに警察に歯向かった為に収容されているのだった。
クリスティンを闇に葬る事で事件の収拾に成功したかに見えた警察だったが、ジョーンズの部下だったレスター・ヤバラ刑事は偶然驚愕の事実を知る。
一方、以前から警察の腐敗を追及していたグスタヴ・ブリーグレブ牧師が、クリスティン救出に尽力する。
見所・感想
黒を白に言いくるめる警察、別人である自分を勝手に自分の都合で「ウォルターだ」という子供に恐怖した。
ヤバラ刑事が偶然、事件の真相にたどり着いたから良かったものの、そうでなければクリスティンは闇に葬られたまま戻って来られなかったかもしれない。
ブリーグレブ牧師の尽力によって、社会を動かしたのも大きかったが、それでも警察幹部は「知らぬ、存ぜぬ」を通していたかも知れず、本当に恐ろしい事件だ。
今日ではDNA鑑定の精度向上で、こうした別人を取り違える間違いはなくなったと信じたいが、痴漢の冤罪事件などは日常茶飯事である。
本作の主人公クリスティンは大変強い女性で、最後まで自分は嘘をついていないと、信念を曲げなかったが、それも、息子は未だ何処かで生きているという、母親が持つ愛情があればこそであろう。
将来に何の希望も期待も持てない、自分のような者が何かの間違いで捕まったとしても信念を持って抵抗できるものだろうか?それを考えると恐怖しか感じなかった。