当ブログの読者さんで、自分同様にひきこもり生活に悩んでいる方から、昨日のエントリに言及があった。
能力というか、言い換えると、数字や学歴などの言葉で表現可能なスペックの事を言っているようだ。
確かに、高卒よりは大卒の方が、スペックという意味では上だよね。
でも、ちょっと考えれば、そんな数字や学歴なんかは意味がないことが分かる。
自分はある時期、漫画家を目指していた訳だけど、世間には大学行ってない漫画家なんか五万といる。
実録マンガと呼んでもいい「バクマン。」の主人公たちは高校デビューした。でも、作画担当の主人公のおじは漫画家だったという、隠れスペックの持ち主でもあった。
バクマン。 コミック 全20巻完結セット (ジャンプコミックス)
- 作者: 小畑健
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/07/18
- メディア: コミック
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自分の事に話を戻すと、自分の行っていた高校にも漫画研究部があって、既に高校デビューしていた同窓生がいた。自分は彼の事が羨ましくて仕方がなかった。
そこで、美大に行って漫画家を目指す訳だけど、結局なれなかったって事はむしろコンプレックスなんだよ。
美大にまで行ったくせに、無駄になったって事がさ。
深入りすればするほど、失敗した時のダメージは大きい物なんだ。
深入りしたって意味では、自分はよせば良いのに、更に深入りを続けた。
今度はイラストレーターになろうとした。
当時はCGなんかなくて、全手書きの時代だったんだけど、エアブラシが流行っていて、それに手を出してしまった。
自分も若かったから、能力に溢れた他人が羨ましくて仕方なかったよ。
学校のスペックじゃ、うちは美大っていっても東京藝大や多摩美の滑り止めでしかない三流だったから、それもコンプレックスだった。
資金面でも、エアブラシは道具に金が掛かったから、安バイトで食いつないでいた自分には良い道具を持っている他人が羨ましかった。
結局、スペックを追うというか、上を見たら限(きり)がないんで、自分はそれに絶望してしまった。
やがて、MacとPhotoshopが入ってきて、そこでジ・エンド。
手書きのエアブラシで、CGに勝てるわけないでしょって、勝手に判断しちゃって。
当時はMacとPhotoshopやるには、新車が買えるほどの金が必要だったから。既にレスポンスという業務用のCGシステムがあったが、それだと数億円だった物が数百万円というレベルになったから、プロはどんどんMacを買ったけど。
今考えると、絶望してすぐに筆を折らなくても良かった。手書きのエアブラシがすぐに需要がなくなったわけでもないし、それで食いつないで、MacとPhotoshopがもっと安くなってから買っても遅くなかったし。
それ以前に、そんな高度なイラストを描く必要もなかった。技術が低くても、低いなりに金を稼げるイラストもあるのだから*1。
LINEスタンプなんて、デッサンの基礎も何も学習していない素人が描いたイラストが、人気だったりするんだから。
ただ好きで描く方が、全然幸せだ。高いスペック追って、上を目指すような描き方していた自分は、結果不幸になってしまった。
下手の横好きというか、趣味で描いている人は、自由で羨ましいと思う。
自分は、描くたびに己の技術の至らなさに嫌気がさして、単なる遊びでも描けなくなってしまった。
毎日描いて、練習しないと技術を維持できない世界なのに、描かないで技術もどんどんダメになる悪循環にもハマってしまった。
仙人は絵とか描けるんだよね? ネットで絵を描く仕事とかできそうじゃん。 もちろん、美大出だからってそう簡単に仕事がとれるとは思わないけど、高卒で何のスキルもない僕に比べれば、遥かにそのハードルは低いと思う。それに仕事が取れなくたって自分で何かを描いたり作ったりして売ることだってできそうだ。はっきりいってうらやましい。
能力のある人がうらやましい - 人生は糞ゲーだ。
だから、こういってるけど、今は全く素人以下の能力しかない。
イラストは、pixivにも少し描いたが、今はこんなのしか描けない。
【オリジナル】「100622」イラスト/mfigure [pixiv]
これで、金が取れるわけなんかないのは明白だから。筆を折った時点で、終わりだったんだと思う。
フィギュアの方も同様。技術は日進月歩だから。マスコットなんかを手芸通販サイトで売る手もあるが、今は材料さえ買うことが出来ない。
他人の能力をうらやむなんて、無駄なこと。
それよりも、自分を良く見つめて、今出来る事を追求した方が、絶対いいよ。
例えば、熟女キラーなんて素晴らしい能力だよ。不倫はいけないけど。
逆に羨ましい。
*1:低いといっても、プロとして通用するには高度に洗練化するノウ・ハウが必要