何も成さずに無職の引きこもりになった自分が意見するのも何だが、仕事の悩みで気になるブログ記事を見かけた。
「作業が無くてお金もらえれば幸せやん」と周りからも言われますが、実際に「やることない」のに1日パソコンの前に座って「ぼーっと」しているのは辛いものです。しかももう何年もその状態です。
これが多分わかってもらえないと思いますが、とてつもなく苦痛です。
確か、ITエンジニアで客先常駐のお仕事だったかと思う。何かトラブルがあれば呼ばれるのだけれど、既に安定したシステムなので滅多に出番がないという話である。
だいぶ前から読んでいるブログなので、大体の事情は分かる。
大方のブックマークコメントは会社を辞める事を後押しするような意見であるが、自分は反対意見を書いた。
その理由の一番は、普段の生活においてお金を意識せずに使える幸せを手放す事になるからだ。
Amazon Dash Button というほどではないが、勤め人で毎月一定の給料がある人は、意識せずにお金を使うことが当たり前になっている。
昼飯をいくらで済ませるかを考えても、モーニングコーヒーの一杯に100円を使う事を日々考える人は少ないだろう。缶コーヒーの120円よりコンビニドリップの100円の方がお得と最初は考えるかもしれないが、それが日々のルーチンに組み込まれると当たり前の行為になって、お金を使っているという意識が消える。
週末隣町の大きなショッピングセンターに買い物に出かけるとき、電車賃がその都度いくらなどと考える人はいない。そこに行くには電車に乗るのが当たり前で毎度同じ乗車賃を払うのは当たり前の行為であり、いちいちいくら使っているという意識はなくなっていく。
会社に勤めて毎月一定の給与があると、それらのお金は当たり前に消費される生活費の一部であり、いちいち意識しなくなるのだ。
ところが、仕事を辞めて今まで入ってきたお金がなくなって、貯めていたお金の中から消費するようになると、そのルーチンが壊れてくる。
減らずにいた貯金額がどんどん減っていくんだから。このペースで行ったら、何年何ヵ月で底をつくと計算し始める。ペースダウンさせなきゃ……
モーニングコーヒー100円は勿体ない、インスタントにしようとか、電車賃使って買い物に行くのは贅沢だから回数減らそうとか、意識していなかったお金がいちいち気になるようになる。事務用の安いボールペンやノートを買うお金さえ躊躇するようになってくる。
それらを意識せずに生活できることが、どんなに幸せなことか想像したことはあるだろうか?
いや、世の中ではそれらの日常生活にかかる細々としたコストを意識せずに生活している人の方が少数派であり、むしろ自営業だったり給与労働者でも赤字ぎりぎりで生活しているワープアであれば、それらを意識して生活せざるを得ない。十分な給与があっても何か目標があって節約を心掛けて「家計簿」をつけている家庭もあるかもしれない。
上から与えられる給与を失って貯えで生きていく、あるいは自分で仕事を起こして自分で稼いで行くって事はそういう事である。
分かっているなら、それでいい。その覚悟があるなら。
「お金はどうするの?」とか「辞めてどうするの?」なんて言われるのかと思いましたが、「まぁ、好きにした方がいいんじゃない?」と意外とあっさりと仕事を辞める交渉を始めることには賛成してくれました。
ブログに書いてあることが全てでないけれど、給与を失くして暮らして行くことの厳しさを本当に知っているのかな?奥さんが気を使っているのは分かるけれど、「家計簿」を囲んでよく話し合った方がよいと思う。
客先常駐の辛さは分かるつもり。自分も業種は違うけど経験がある。若い時に1年だけ就職していた会社があって、某電器メーカーの客先常駐に回された。最初3ヵ月程大部屋で4,5人のチームで入ったのだが、途中から一人で別の部署に回された。新人で右も左も分からない状態なのに、小さな会社で即戦力として採用されたものだから。一流企業の施設に、あくまで机を使わせていただいている身分で入って、トイレは使えるけれど、社員食堂は使えない。昼食は毎日朝買ったコンビニ飯で、それで閉館になる午後11時まで働いて、それから客先のある駅前の牛丼屋で遅い晩飯。家に帰ると午前様という生活で。窓のない小部屋に押し込まれて、時計を見ないと昼か夜かも分からず、一人になって6ヵ月しか我慢出来ずに、仕事を放り出して逃げてしまった。
自分と違ってベテランだとしても、お客様の施設で机を使わせていただくという、肩苦しさは変わらないだろう。でも、非常時でない限り8時間で上がれて、仕事でやるべき事も分かっているなら、やりようがあるのでは。
とにかく、単に仕事がつまらないからと理由で、辞める事を考えるのは危険すぎる。自由を得る代わりに失うものも大きい。それは想像以上のものかもしれない。
お金の心配をしながら生活するという、別のストレスを抱え込む危険があるという話。50歳を過ぎていると、別の仕事も簡単には見つからない。次の目途が立ってから辞める事を考えるべきだし、自分から辞めるのではなく、会社の方が肩を叩くまで粘った方が良いと思う。