スネップ仙人が毒吐くよ

60代独身じじぃの独白記


アビエイター 【ディカプリオの怪演が光る大作】

Huluの2週間無料トライアルの利用による、映画鑑賞レビューの連載。

 第2回目はレオナルド・ディカプリオ主演の「アビエイター」だ。

第77回アカデミー賞5部門受賞、主演賞も有力と目されていたものの、惜しくもディカプリオは受賞を逃してしまった。逃した理由は受賞した「レイ/Ray」のレイ・チャールズ役の俳優があまりにモデルとなった本人に似すぎていた為で、ディカプリオの演技が劣っていたわけではないといわれていた。その為彼の演技が気になった。

アビエイター(字幕版)

2004年のアメリカ映画。監督は「タクシードライバー」「レイジング・ブル」で知られるマーティン・スコセッシ。

ヒューズ・エアクラフト社で有名な大富豪ハワード・ヒューズの半生を描いた伝記映画である。アビエイターとは飛行機の操縦士の意。 

 ハワード・ヒューズ - Wikipedia

 

あらすじ

母親に石鹸で身体を洗われる少年、母は「QUARANTINE」訳すると「感染予防のための隔離」という言葉を吹き込むのだった。その少年はハワード・ヒューズ。彼は後に精神をその言葉に圧迫されるのだった。

時変って、若くして父親が残した莫大な遺産を受け継いだハワードは、かねてより夢だった航空映画の撮影に着手する。常識外れの予算と年月をかけた、彼の映画は話題となり、一躍ハリウッドの有名人となる。有名女優と浮名を流しながらも、彼の大空への夢は映画にとどまらず、ヒューズ・エアクラフト社を設立。飛行家として数々のスピード記録を打ち立てる。しかし、私生活では深く付き合った有名女優キャサリン・ヘップバーンと破局。潔癖症の母に育てられた彼は、自宅の衣服を全て焼却したり、手が擦り切れて血が出るまで洗う、ドアノブを直接触れなくなるなど、異常な行動を繰り返す強迫性障害に悩まされる事となる。

 

見所・感想

アメリカでは大変著名な偉人の一人である為か、いささか説明不足である。予備知識がないと理解が難しく、長いだけの退屈な作品*1になる危険性がある。ネタバレを気にする普通の映画とは逆に、知識を仕入れれば仕入れるほど面白くなる作品だろう。

登場する飛行機やセットにハリボテ感が全く感じられないのは、ハリウッド作品の常ではあるが凄い事だ。

ディカプリオの演技だが、最初から最後までハイテンションの全力投球で凄まじい気迫を感じた。常に大声で、かつ高圧的な態度で、なんて嫌なヤツだろうと思ったが、資料によるとハワード・ヒューズは難聴もわずらっていたらしい。それが、大声の理由だったのかもしれない。

後半になると、強迫性障害による異常行動が顕著となり、鬼気迫る怪演の色を帯びてくる。これは必見だろう。

脇を固める、女優、俳優陣の演技も素晴らしい。助演女優賞を取ったキャサリン・ヘップバーン役のケイト・ブランシェットも良いが、個人的に、パンナム社長役のアレック・ボールドウィンが良かった。キレッキレの天才肌のハワードと対照的に落ち着いた口調の実務派の経営者という感じで、いかにもそれらしかった。

だが、自分はキャサリン・ヘップバーンが出演した映画を一本も観ていないので、それらが気になるところだ。

キャサリン・ヘプバーン - Wikipedia

 

というわけで、なかなかの力作であるが、残念だったのは生涯でなく、途中で終わってしまった事。説明不足でもあるし、時間的に苦しかったのだろうが、中途半端な感じは否めない。

TWAの旅客機ロッキード・コンステレーションの優雅な飛行シーンがなかったのも少々寂しかった。

 

アビエイター(字幕版)

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*1:上映時間2時間49分